幼稚園とは

幼稚園教育の基本

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幼稚園教育は,学校教育法第22条に規定する目的を達成するため,幼児期の特性を踏まえ,環境を通して行うものであることを基本とします。

このため,教師は幼児との信頼関係を十分築き,幼児と共によりよい教育環境を創造するように努めるものとします。これらを踏まえ,次に示す事項を重視して教育を行わなければなりません。

  1. 幼児は,安定した情緒の下で自己を十分に発揮することにより発達に必要な体験を得ていくものであることを考慮して,幼児の主体的な行動を促し,幼児期にふさわしい生活が展開されるようにすること。
  2. 幼児の自発的な行動としての遊びは,心身の調和のとれた発達の基礎を培う重要な学習であることを考慮して,遊びを通しての指導を中心として,ねらいが総合的に達成されるようにすること。
  3. 幼児の発達は,心身の諸側面が相互に関連し合い,多様な経過をたどって成し遂げられていくものであること,また,幼児の生活経験がそれぞれ異なることなどを考慮して,幼児一人一人の特性に応じ,発達の課題に即した指導を行うようにすること。
    その際,教師は,幼児の主体的な活動が確保されるよう幼児一人一人の行動の理解と予想に基づき,計画的に環境を構成しなければならない。この場合において,教師は,幼児と人やものとのかかわりが重要であることを踏まえ,物的・空間的環境を構成しなければならない。また,教師は,幼児一人一人の活動の場面に応じて,様々な役割を果たし,その活動を豊かにしなければならない。

 

幼稚園教育の目標

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幼児期における教育は,家庭との連携を図りながら,生涯にわたる人間形成の基礎を培うために大切なものであり,幼稚園は,幼児教育の基本に基づいて展開される幼稚園生活を通して,生きる力の基礎を育成するよう学校教育法第23条に規定する幼稚園教育の目標の達成に努めなければなりません。

  1. 健康,安全で幸福な生活のために必要な基本的な習慣を養い,身体諸機能の調和的発達を図ること。
  2. 集団生活を通じて,喜んでこれに参加する態度を養うとともに家族や身近な人への信頼感を深め,自主,自律及び協同の精神並びに規範意識の芽生えを養うこと。
  3. 身近な社会生活,生命及び自然に対する興味を養い,それらに対する正しい理解と態度及び思考力の芽生えを養うこと。
  4. 日常の会話や,絵本,童話等に親しむことを通じて,言葉の使い方を正しく導くとともに,相手の話を理解しようとする態度を養うこと。
  5. 音楽,身体による表現,造形等に親しむことを通じて,豊かな感性と表現力の芽生えを養うこと。

 

幼稚園と保育所のちがい

区分 〈幼稚園〉 〈保育所〉
所管 文部科学省 厚生労働省
法的根拠 学校教育法 児童福祉法
目的 義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとして,幼児を保育し,幼児の健やかな成長のために適当な環境を与えて,その心身の発達を助長することを目的とする。 日々の保護者の委託を受けて,保育に欠けるその乳児又は幼児を保育することを目的とする。
入園の決定 園と保護者の合意 保護者が園を選択し,市町村に申し込む。
対象児 満3歳から小学校就学まで 0歳から小学校就学まで
時間 原則として1日4時間が標準だが,預かり保育も可能 原則として1日8時間
職員の資格 幼稚園教諭免許 保育士資格

 

幼稚園教育の特質と小学校教育との違い

学校教育法第26条に,「幼稚園に入園することのできる者は,満3歳から小学校就学の始期に達するまでの幼児とする」と示されています。

幼稚園教育の特性と小学校教育の違いを比較すると,つぎのようになります。

〈幼稚園〉 〈小学校〉
遊びを中心とした生活を通しての総合的な指導。 教科書を中心とした指導。
一日を通して保育する中で,興味や意識の流れを大切にしていく。 時間割が組まれ一時限ごとに学習活動を区切られることが多い。
一人ひとりの発達に即して機会や場をとらえ,教師が導いていく。 教科等の目標や内容に沿って単元や教材等が決められ,それらに基づいて学習活動が発展される。
一人ひとりの発想や興味,関心を大切にし,幼児が選ぶ多様な活動を行う。 教材や活動の幅を広げる工夫がなされるようになっているが,実際には共通な教材と場を教師が選び,一斉に活動することが多い。
教師が計画的に環境を構成しながら幼児の関わり方を援助していく。 学習のねらいを到達度的に捉え,それに到達するように教師が指導していく。